「大学生の間にやりたいことは?」と学生に聞くと,多くの学生が「学生時代にしかできないことをやりたい」と答える。
「具体的には?」とさらに聞くと,ほとんどの場合,「時間がある時だからこそ,世界中を旅行したい」と答える。
確かに,学生の時が一番時間がある。
その時間を有意義に使うことは良いことだし,旅行に行き見聞を広めることももいいだろう。
まあ,もっとも今は,コロナで旅行に行くことは無理ではあるが…。
周りの友人たちが旅行に行って大学生活を謳歌している中,なぜ,原田ゼミ生は研究するのか?
それは,研究を通じて,社会で活躍するための基礎的な能力を獲得できると考えているからである。
では,研究活動の何が,その基礎的能力であるのか。
学生の研究において,最も苦労するのが,研究テーマの設定である。
研究テーマについて,私は何も指示しない。
ただ一言、「日本企業の本質的問題を研究しなさい」と言うだけである。
毎年,ゼミ生は,半年ほど研究テーマの設定に悩んでいる。

私は,このテーマ設定が最も重要だと考えている。
テーマを考えるプロセスを通じて,問題を発見する能力が身につくからである。
学生は、日本企業の根本的問題や課題が何であるかを必死に考え、研究テーマを決める。
私は、この問題発見能力こそが,人生の基礎的能力であると考えている。
よく指摘される論理的思考能力は,正しい答えを導くために不可欠である。
そして、この能力も研究活動を通じて獲得できる。
しかし,より重要なことは,問題の本質を見極める力である。
社会には多くの問題がある。
何を問題として捉えるのか。
そして,その本質は何であるのか。
これを見極めなければ,いくら論理的思考能力があっても間違った答えを導いてしまう。
問題発見能力こそが,社会で活躍するための必須能力であり,それは学生時代に身につけなければならない。
残念ながら、講義を受けているだけでは,この能力は身につかない。
そして、問題発見能力は,教員からテーマを与えられて研究しても身につくものではない。
自ら苦労して考え抜くことを通じて獲得するしかないのである。

だから,原田ゼミでは,他の学生が楽しい時間を過ごしている間,研究する。
そして,研究を通じて学んだことを活かし,次世代のリーダーになってもらいたい。
下記の記事を読み,強く共感した。
今回、ブログを書こうと思ったきっかけである。
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